私が愛してやまないヴィパッサナー瞑想。
自分の心身を感じ取り、自律神経を整える。
体中の身体感覚のなるべく全てを、内側からいろいろ感じ取っていく。
しかし「痛い」「痒い」、「暑い」「寒い」などは分かりやすいだろうが、何気ない小さな感覚を拾うというのはピンとこないかもしれない。
そんな時にはスローモーションの活用をおすすめしたい。
スローモーション
「スローモーション」の瞑想技法は、ヴィパッサナーなどの知識がある方にはお馴染みだろう。
ザックリ言えば、太極拳のようにスローに身体を動かすことである。
それにどんな意義があるのか。それは、
1. スローであること
2. モーションである(動いている)こと
のそれぞれに意味があるように感じる。
“スロー”の利点
「スローな動き」の意義を、逆の「速い動き」と比較して考えてみる。
身体の「速い動き」は、意識が注がれているようで実はむしろ無造作なものだ。
たとえば顔の前で「グー」をつくり、次に素早く「パー」にしてみる。
この時、開き始めに瞬間的に力を入れたあとに、反動や惰性でパーまでいっている感じが分かるだろうか。
今度は、極端にスローな動きでグーからパーへもっていく。
半端な遅さでなく、動いてないんじゃね?というくらいに、極限までスローにしてみる。
このとき拳を開くために使う箇所を全て感じ続けないと、極限までスローにできないはずだ。
前腕、上腕、肩、胸や首まで意識しないと、本気の「遅さ」は追求できない。
「速い動き」は初動のあとに力を抜き、慣性で振り回すほうが効率がよいが、「スローな動き」の方はスローであるほど各所をキープする必要が生じ、マインドフルでなければ不可能になる。
上記を意識してさまざまな動作を行なってみよう。
身体のいろいろ箇所を感じることが出来てくるはずだ。
このように、超スローは身体に意識を向けることのセンスを高めてくれる。
慣れたら、超、でなくてもややスローでもよいかと思う。
“モーション”の利点
心身の観察は、コツを掴めばじっと座りながら行うことも可能だ。そうなれたらスローモーションは必要ないかというと、そうでもない。
スローモーションは常に優れた瞑想手法である。
使う身体の箇所は感じやすいからである。
たとえば腕に残った力み等は、ヒジの曲げ伸ばしや手首を回すなどの動作を行いながらの方が感じ取りやすい。
これは、力みというものが身体を使う中で形成されることが多いので、同じ箇所を使う中での方が出会いやすいためだと思う。
まとめ
スローモーションは身体の感度を高める基礎的なトレーニングになり、またマインドフルネス状態へ効率的に移行するための補助にもなる。
それでいて「技術」と呼べないほどシンプルなものだ。
ぜひ生活に取り入れ、活用することをお勧めしたい。